農地の「無断転用」が発覚した場合の「対処法」をわかりやすく解説します。

農地転用関係

農地法はマイナーな法律なので、悪気なく農地の無断転用をしている事例は多いです。

しかし、法律は知らなかったでは済まされないため、農地の無断転用が発覚した場合に放置していると罰則を受ける可能性があります。

そこで今回は、農地の無断転用が発覚した場合の対処法をわかりやすく解説します。

農地の無断転用とは

農地の無断転用とは、農地転用の許可を受けず(届出をせず)に農地の転用をすることです。

例えば、農地を相続したAさんが、その農地から離れた場所に住んでおり、かつ農地法について知らなかったため、農地法の手続きをとらずにこの農地を資材置場として使用したいBさんへ貸していた場合がこれにあたります。

農地の無断転用が発覚した場合、行政は以下の流れで対応します。

出典:農林水産省 違反転用への対応

刑事訴訟法に基づく告発が行われるのは、行政が悪質な事案であると判断した場合です。個人の場合は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金(農地法第64条第1項第1号、農地法第67条第1項第1号)という重い罰則が用意されているので、行政からの指導や勧告には真摯に対応することをお勧めします。

農地の無断転用が発覚した場合の対処法

農地の無断転用に対する対応方法は、基本的に①原状復旧、②追認的に許可を得る、の2つです。

原状復旧

原状復旧とは、農地に戻すことを指します。

もっとも、原状復旧には多額の費用が発生するため、経済的負担が大きいです。

例えば、無断で農地に家を建てていた場合、それを取り壊して農地に戻すためには多額の費用がかかります。

したがって、実際に原状復旧するケースは少ないです。

追認的許可

無断転用の事例では、農地法のことをよく知らずに悪気なく無断転用している事例が多いです。

この様な事情を考慮せず罰則を科したり強引に原状復旧させることは、当事者にとって酷です。

したがって、農地の無断転用については、追認的に許可を得ることが認められています。

※判例も追認的許可を肯定しています。

「既に事実上転用された農地につき転用を許可するのは、違法状態を将来に向つて消滅させる効果を持つのであり、換言すれば、当該処分以後申請人をして右土地を農地以外の用途に使用する自由を得させるのであつて決して不能の行政処分ということにはならない」

引用:最判 昭和34年1月8日 集民 第35号23頁 

なお、事後的に許可申請をする場合、通常の申請書類に加えて「始末書」の提出を求められます。

始末書とは、反省文みたいなものです。

無断転用していたことを告白し、今後は同じようなことをしないという誓約をする内容です。

【始末書のサンプル】

例えば、以下の様な簡単な書面で問題ありません。

追認的許可の注意点

追認的許可の場合でも農地転用の許可要件(立地基準と一般基準)を満たす必要があることに変わりはありません。

※農地転用の立地基準については、こちらの記事を参照してください↓

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したがって、追認的に許可が得られるのは原則として第2種農地又は第3種農地です。

なお、例外的に農用地区域内農地(青地)、甲種農地、第1種農地でも許可となる場合があります。

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農地の無断転用状態が長期間続いている場合

農地の無断転用状態が長期間続いている場合は、非農地証明を取得すれば、追認的許可まで必要ないケースも稀にあります。

例えば、農地に無断で家を建てた状態が20年以上継続している場合です。

許可申請と非農地証明では手続きの難易度に雲泥の差があるので、農地の無断転用状態が長期間続いている場合は、まず農業委員会事務局に非農地証明で対応できないか相談してみるのも一つの手です。

※非農地証明については、こちらの記事を参照してください↓

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よくある質問

以下では、農地の無断転用について、筆者が実務でよく受ける質問とその回答を紹介します。

Q:農地の無断転用と違反転用の違いを教えてください。

A:農地の無断転用は違反転用の一種です。無断転用とは農地転用の許可を受けず(届出をせず)に農地の転用をすることです。一方、違反転用とは農地転用に関する農地法違反全般(無断転用、転用許可に付した条件に違反すること、不正な手段によって許可を受けること等)を指します。

Q:農業委員会から無断転用の是正をするようにとの通知書が届きました。無視しても大丈夫ですか?

A:無視してはいけません。大事になる前に農業委員会事務局へ今後の対応について相談してください。なお、仕事で忙しい等の理由からご自身で相談することが難しい場合は、行政書士に対応してもらうことをお勧めします。

Q:農地転用の許可申請をして農業委員による現地調査が終わった後であれば、許可が下りる前に着工しても問題ないですか?

A:総会での審議保留や不許可になる恐れがあります。農地転用の許可申請をしていても許可が下りていない段階で着工すれば無断転用となります。

まとめ

  • 農地の無断転用とは、許可を得ずに(届出をせずに)農地の転用をすることです。
  • 悪質な無許可の事案では、個人の場合3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が適用されることもあります。
  • 対処法としては、基本的に①農地に戻す原状復旧、②事後に許可を得る追認的許可の2つがあります。
  • 追認的許可が認められない場合もあるため、注意が必要です。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地で無断転用が発覚した場合は、行政書士池田法務事務所にご相談ください。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートをいたします。

この記事を書いた人

行政書士池田法務事務所
所長 特定行政書士 池田 大地

専門分野:農地関係

所属:茨城県行政書士会

登録番号:第22110205号(日本行政書士会連合会)

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