農地の「無断転用」が発覚した場合の「対処法」をわかりやすく解説します。

農地転用関係

農地法はマイナーな法律なので、悪気なく農地の無断転用をしている事例は多いです。

しかし、法律は知らなかったとしても許されないので、農地の無断転用が発覚した場合、罰則を受ける可能性があります。

今回は、農地の無断転用が発覚した場合の対処法を解説します。

農地の無断転用とは

農地の無断転用とは、農地転用許可を受けず(届出をせず)に農地を無断で転用してしまうことを指します。

例えば、農地を相続したAさんが、その農地から離れた場所に住んでおり、かつ農地法について知らなかったため、農地法の手続きをとらずにこの農地を資材置場として使用したいBさんへ貸していた場合等がこれにあたります。

農地の無断転用は、個人の場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人の場合は、1億円以下の罰金が科されます。

さらに、これらの刑罰に加えて、農地への原状復帰命令などの行政処分が下されることもあります。

農地の無断転用が発覚した場合の対処法

農地の無断転用に対する対応方法は、基本的に①原状復旧、②追認的に許可を得る、の2つです。

原状復旧

原状復旧とは、農地に戻すことを指します。

もっとも、経済的損失が大きいため、実際に原状復旧するケースは少ないです。

例えば、無断転用で農地に家を建てていた場合、それを取り壊して農地に戻すことは多額の費用がかかることでしょう。

追認的許可

実際の無断転用の事例は、

農地法のことをよく知らずに無断転用していたり、

相続した土地が無断転用されていたと言う事例が多いです。

したがって、この様な事情を考慮せず法令通りの罰則を与えていくことは不合理であり、

強引に原状復旧させることは、経済的負担が大きいです。

一方で、農業委員会は違法状態を知りながら放置することはできません。

そこで、農地の無断転用については、追認的に許可を得ることが認められています。

なお、事後的に許可申請をする場合、通常の申請書類に加えて「始末書」の提出を求められます。

始末書とは、反省文みたいなものです。

無断転用してしまっていたことを告白し、今後は同じようなことをしないという誓約をする内容です。

始末書のサンプル

例えば、以下の様な簡単な書面で問題ありません。

農地の無断転用状態が長期間に渡って継続している場合

農地の無断転用状態が長期間に渡って継続している場合は、非農地証明を取得すれば、追認的許可まで必要ないケースも稀にあります。

例えば、農地に無断で家を建てた状態が20年以上継続している場合等です。

許可申請と非農地証明では手続きの難易度に雲泥の差があるので、無断転用の状態が長期間に渡って継続している場合は、まず農業委員会事務局に非農地証明で対応できないか相談してみるのも一つの手です。

※非農地証明については、こちらを参照して下さい↓

追認的許可が認められない場合

農用地区域内農地(青地)の場合は、追認的許可は認められませんので、注意が必要です。

なぜなら、農用地区域内農地(青地)の追認的許可を認めると、周辺農地への影響が大きく、

さらに、農用地区域内農地(青地)には農業振興のための公共投資がなされているため、

追認的許可を認めるとそれが無駄になってしまうからです。

※農用地区域内農地(青地)についてはこちらを参照して下さい。↓

おわりに

無断転用が発覚した場合は、まず農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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