市街化調整区域の農地に老人ホームを建築する場合、農地転用の許可が必要となります。
さらに、市街化調整区域の場合は、規模に関係なく開発許可も必要になります。
今回は、市街化調整区域の農地に老人ホームを建築する際の手続き(農地転用許可と開発許可)についてわかりやすく解説します。
※本記事では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設等の高齢者施設を総称して「老人ホーム」といいます。
老人ホームの建築を目的にした農地転用許可
市街化調整区域の農地に老人ホームを建築する場合は、農地転用の許可が必要です。
農地転用の許可を得るためには、立地基準と一般基準を満たす必要があります。
農地転用の立地基準
農地転用の立地基準とは、農地区分ごとに定められた許可の基準です。
※立地基準の詳細については、こちらの記事を参照してください↓

老人ホームに転用できる農地は、原則として第2種農地か第3種農地です。
農用地区域内農地(青地)、甲種農地、第1種農地は、原則として老人ホームには転用できません。
農地転用の一般基準
農地転用の一般基準は、主に4つあります。
- 申請に係る農地の全てを当該申請に係る用途に供することが確実であること(農地法第4条第6項第3号、農地法第5条第2項第3号)
- 周辺の農地等に対する被害防除措置が万全であること(農地法第4条第6項第4号、農地法第5条第2項第4号)
- 農地の利用集積に支障を生じさせないこと(農地法第4条第6項第5号、農地法第5条第2項第5号)
- 一時転用の後、農地への復元が確実に行われること(農地法第4条第6項第6号、農地法第5条第2項第7号)
例えば、老人ホームを建築する資金があるか、周辺の農地に悪影響を与えないか、開発許可の見込みがあるか等がチェックされます。
※一般基準の詳細については、こちらの記事を参照してください↓

老人ホームの建築を目的にした開発許可
市街化調整区域の農地に老人ホームを建築する場合は、開発許可も必要です。
開発許可を得るためには、技術基準(都市計画法第33条)と立地基準(都市計画法第34条)を満たす必要があります。
技術基準とは、道路・公園・給排水施設等の確保や防災上の措置等に関する基準です。
一方、立地基準は市街化調整区域の場合に追加で満たす必要のある基準です。
例えば、茨城県の立地基準で老人ホームに関係するものとしては、都市計画法第34条第1項第14号の包括承認基準10(介護老人保健施設の取扱いについて)と都市計画法第34条第1項第14号の包括承認基準14(社会福祉施設の取扱いについて)が挙げられます。
開発許可の要件は農地転用の要件よりも複雑でわかりにくいため、建物の設計図面等を準備した上で、都市計画課の担当者へ許可の見込みについて相談しましょう。
なお、開発許可の申請は農地転用の許可申請と同時に申請して、同時に許可となります。
※開発許可申請の流れについては、こちらの記事を参照してください↓

よくある質問
以下では、老人ホームの建築を目的にした農地転用について、筆者が実務でよく受ける質問とその回答を紹介します。
Q:農用地区域内農地(青地)でも老人ホームの建築は可能ですか?
A:農振除外が認められれば可能です。
※農振除外の手続きについては、こちらの記事を参照してください↓

Q:第1種農地でも老人ホームの建築は可能ですか?
A:不許可の例外に該当すれば第1種農地に老人ホームを建築することは可能です。例えば、特別養護老人ホームは「公益性が高いと認められる事業」、介護老人保健施設は「市街地に設置することが困難又は不適当なもの」として例外的に許可となる可能性があります。
※第1種農地が転用できる場合については、こちらの記事を参照してください↓

まとめ
- 市街化調整区域の農地に老人ホームを建築する場合は、農地転用許可と開発許可が必要です。
- 農地転用許可を取得するためには、立地基準と一般基準を満たす必要があります。
- 老人ホームを建築できる農地は、原則として第2種農地又は第3種農地です。
- 第1種農地であっても、例外的に老人ホームに転用できる場合があります。
- 開発許可を取得するためには、技術基準と立地基準を満たす必要があります。
茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で老人ホームの建築を目的にした農地転用許可申請や開発許可申請を検討されている方は、行政書士池田法務事務所にご相談ください。
農地関係専門の行政書士が親身になってサポートをいたします。
この記事を書いた人
行政書士池田法務事務所
所長 特定行政書士 池田 大地
専門分野:農地関係
所属:茨城県行政書士会
登録番号:第22110205号(日本行政書士会連合会)
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