農地の貸し借り(賃貸借)には、農地法第3条の許可が必要です。
では、転貸(又貸し)はどうでしょうか?
今回は、農地の転貸(又貸し)について解説します。
※農地法第3条の許可についてはこちらを参照して下さい↓
農地の転貸(又貸し)は原則認められない
農地の転貸(又貸し)とは、借りている農地を別の人へさらに貸すことを指します。
例えば、Bさんから農地を借りていたAさんが、Cさんにその農地を貸す様な場合です。
農地法上、農地の転貸(又貸し)は原則認められていません。
※農地法第3条第2項
次に該当する場合、農業委員会は許可を行うことができない。
- 効率的に利用して耕作等の事業を行うと認められない場合
- 農業生産法人以外の法人による権利取得の場合
- 信託の引受けにより1号に掲げる権利が取得される場合
- 耕作等の事業に必要な農作業に常時従事すると認められない場合
- 下限面積制限に抵触する場合
- 農地等を転貸する場合
- 地域における農地等の農業上の効率的、総合的利用の確保に支障を生ずる恐れがあると認められる場合
農地の転貸(又貸し)が認められないのはなぜ?
なぜ、農地法上、農地の転貸(又貸し)が認められないのでしょうか?
民法上は貸主の承諾を得れば、転貸できるので疑問が生じます。
「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」
民法第612条
農地法上、農地の転貸(又貸し)が認められない理由は、
転貸が自由に認められると、権利関係が複雑化して、誰が耕作者なのか把握しにくいからです。
また、もし農地の転貸(又貸し)が自由に行えるとしたら、それを悪用する者が出てくる可能性が高いことも農地の転貸(又貸し)が認められない理由として考えられます。
例えば、AさんがBさんから農地を借りて農業を行いたいけれども、Aさんのステータスでは、農地を借りるための許可が下りないので、許可要件を満たすCさんを利用して許可を取得させ、CさんからAさんが農地を転貸(又貸し)してもらう場合です。
※イメージ:B → C → A
農地の転貸(又貸し)が認められる例外
以下の場合、例外的に農地の転貸が可能です。
※農地法第3条第2項第6号
- 当該事業を行う者又はその世帯員等の死亡又は第2条第2項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合
- 当該事業を行う者がその土地をその世帯員等に貸し付けようとする場合
- 農地保有合理化法人又は農地利用集積円滑化団体がその土地を農地売買等事業の実施
- その土地を水田裏作(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培すること)の目的に供するため貸し付けようとする場合
- 農業生産法人の常時従事者たる構成員がその土地をその法人に貸し付けようとする場合
あくまでも農業を継続するために必要最低限の転貸が認めらているだけで、営利目的の転貸は一切禁止されています。
おわりに
農地に関してお困りの方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。
専門家が親身になってサポート致します。
この記事を書いた人
特定行政書士 池田大地
専門分野:農地関係
所属行政書士会:茨城会
日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号
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