市街化調整区域にある農家住宅を一般住宅にして売買する方法

開発許可関係

「市街化調整区域にある農家住宅を諸事情により売却したい」とのご相談がままあります。

農家住宅を売却する場合は、原則として都市計画法第43条第1項に基づく用途変更の許可を得て、一般住宅にしてから売却することになります。

今回は、市街化調整区域にある農家住宅を一般住宅にして売買する方法を解説します。

市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域です。

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。

都市計画法第7条第3項 都市計画法 | e-Gov法令検索

そのため、市街化調整区域では基本的に家等を建築することができません。

開発行為を行う場合は、その面積に関係なく原則許可が必要となります。

農家住宅とは

農家住宅とは、農家の方が農業をするための住宅です。

農家住宅のメリットは、市街化調整区域に建築する場合でも都市計画法の許可が不要になる点です。

都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。

 市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの

都市計画法第29条第1項第2号 都市計画法 | e-Gov法令検索

一方、農家住宅のデメリットは、農家住宅のままでは、一般の方が購入しても後々立て替え等をすることができないため、買い手を見つけることが困難になる点です。

市街化調整区域にある農家住宅を一般住宅にして売買する方法

市街化調整区域にある農家住宅を一般住宅にして売買するためには、都市計画法第43条第1項に規定されている用途変更の申請をして許可を得る必要があります。

何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。

 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

 仮設建築物の新築

 第二十九条第一項第九号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

都市計画法第43条第1項 都市計画法 | e-Gov法令検索

開発許可を受けた開発区域内の用途変更については、都市計画法第42条第1項の許可が必要です。詳細はこちらの記事を参照して下さい↓

では、具体的にどの様な場合であれば農家住宅を一般住宅へ用途変更し得るのかは、自治体によって異なります。

例えば、茨城県の場合だと「包括承認基準4:一身専属的許可を受けて建築した住宅の譲渡及び増改築等の取扱いについて」に適用の範囲が規定されています。

第2 次の各号のいずれかに該当すること。

(1) 許可を受けた者が当該住宅に相当期間(5年以上)居住し,かつ家庭の事情等により転居せざるを得ないと認められること。

(2) 許可を受けた者が当該住宅に居住し,かつ生計維持者の死亡若しくは長期療養を要する疾病等あるいは多額の負債の返済等の経済的事情のため生計の維持が困難である,又は許可後通勤が不可能な勤務地への転勤を余儀なくされる等,相当の事情があること。

(3) 生計維持者の破産等による競売によるもの。

(4) 当該住宅は平成2年9月30日以前に許可を受けた住宅であり,建築後15年以上経過しており,譲渡を受けた者が現在まで引き続き相当期間(5年以上)居住しているもので,その者が維持管理する上で安全上又は衛生上支障があると認められること。

付則

2 法29条第1項第2号に規定する農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物については,上記第2から第5を準用するものとする。

包括承認基準4:一身専属的許可を受けて建築した住宅の譲渡及び増改築等の取扱いについて/茨城県 (pref.ibaraki.jp)

まとめ

  • 農家住宅の建築は都市計画法の許可が不要というメリットはあるものの、一般住宅に変更しないと売却することが困難。
  • 農家住宅を一般住宅に変更して売却するためには、都市計画法第43条の用途変更の申請と許可が必要。
  • 用途変更し得る場合については自治体によって異なり、例えば茨城県の場合は包括承認基準4に基づく条件がある。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農家住宅の売買を検討されている方は、農地関係専門の当事務所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートを致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

※お問い合わせはこちらから↓

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました