ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の闇~あまり普及しない理由を解説します~

農地転用関係

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、太陽光発電と農業を両立させる制度として期待されていました。

しかし、実際はあまり普及していないのも事実です。

なぜ、あまり普及しないのでしょうか?

今回は、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)があまり普及しない理由について解説します。

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)があまり普及しない理由

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)があまり普及しない理由の一つとして、農地法の申請前に行政側から長期間の「事前相談」を要求される点が挙げられます。

この事前相談とは、農地法に基づく申請書一式の写しを事前に役所へ提出し、申請内容について照会することを指します。

※ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)については、こちらを参照して下さい↓

この事前相談は、許可の見込みがない申請を事前に排除し、申請者側と行政側に無駄な時間と費用を掛けさせない点で、メリットがあります。

しかし、長期間に渡る事前相談は、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)をビジネスとして行いたい事業者にとって、大きなデメリットになります。

例えば、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を行うため、事前にFIT法の認定を受けていたにもかかわらず、事前相談期間が長すぎるためにFIT法の認定が失効してしまう場合等です。

なぜソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)で長期間の事前相談が要求されるのか?

実務では、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の事前相談が終わるまでの期間として、行政側より半年~1年もの期間を要求される事例が見受けられます。

これは、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が一時転用であるが故に、野立ての太陽光発電が認められない優良農地でも行うことができることに起因します。 

つまり、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、優良農地で太陽光発電をするための抜け道として利用されがちなのです。

その結果、太陽光発電がメインとなり、パネル下での作物栽培がおろそかにされている事例が後を絶ちません。

したがって、自治体によっては、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の申請で、農振除外の様な手続きとして事前相談を求め、安易に優良農地が利用されないようにしています。

※農振除外の申請についてはこちらを参照して下さい↓

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)で長期間の事前相談が要求された場合の対処法

優良農地も利用することが可能であるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の手続きを慎重に進めたい行政側の意図は、農地法の趣旨から一理あります。

しかし、事前相談はあくまで行政指導に過ぎませんから、行政指導によって法律で定められた申請者の権利(※)を妨害することは認められません。

※行政側は行政手続法第7条によって申請に対する応答義務があります。

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

行政手続法第7条

そこで、度が過ぎる事前相談期間を要求された場合は、合理的な期間が経過した時点(事前相談の申出をしてから1か月程度経過した時点)で、回答の有無にかかわらず農地法に基づく申請をしましょう。

なぜなら、法令に基づく申請をしない限り、不服申し立てや訴訟によって争うことができないからです。

まとめ

  • ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が普及しない理由の一つは、農地法の申請前に行政から長期間の事前相談が要求されることです。
  • 事前相談は許可の見込みがない申請を排除し、無駄な時間と費用を節約するために行われますが、事業者にとってはデメリットとなる場合があります。事前相談期間が長すぎると、FIT法の認定が失効するなどの問題が生じることがあります。
  • ソーラーシェアリングの事前相談は一時転用であり、野立ての太陽光発電が認められない優良農地でも利用されるため、問題が発生しています。自治体は優良農地の利用を防ぐために、ソーラーシェアリングの申請に長期間の事前相談を要求する場合があるのです。
  • 長期間の事前相談が要求される場合は、合理的な期間が経過した後で申請を行う必要があります。申請しなければ法的な争いもできないため、適切なタイミングで申請することが重要です。

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茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を検討されている方は、お気軽に弊所へご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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