農地転用の申請が不許可になるケースは、滅多にないのが現実です。
なぜなら、許可申請をする前の調査で、不許可になる可能性の高いことが判明した案件は、そもそも申請しないからです。
とは言え、稀に不合理な理由で不許可となる案件もあります。
そこで今回は、農地転用の申請が不許可となった場合の対応方法について解説します。
農地転用の申請が不許可になる場合とは?
具体例を2つご紹介します。どちらも農地転用の一般基準を根拠にして不許可と判断されています。
※農地転用の一般基準についてはこちらを参照して下さい↓
具体例①:太陽光発電の案件で考慮すべき事項を考慮していないケース
同じ事業者のA案件、B案件で、先にA案件の許可を受けて、数か月後にB案件の許可申請をした。
A案件の工事がやむを得ない事由(工事の依頼先が倒産した)によって当初の計画より遅れていたにもかかわらず、良く調べもしないでB案件の「申請目的実現の確実性が認められない」として、B案件が不許可となった事例。
具体例②:太陽光発電の案件で農業委員会から過剰な要求をされたケース
農業委員会から隣接地権者全員の同意書取得を求められたが、
隣接地権者全員から同意書を取得することはあまりにも負担が重いので、取得できる範囲で同意書を取得し、それ以外は経緯書を提出することで対応した。
その結果、「周辺の農地にかかる営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる」ため、不許可となった事例。
農地転用の申請が不許可となった場合の対応方法
納得のいかない不許可案件がある場合、申請者は泣き寝入りするしかないのでしょうか?
そんなことはなく、救済の道が2つ用意されています。
それは、審査請求と訴訟です。
どちらかを選択して不服を申し立てることができます。
もっとも、訴訟は裁判所に不服を申し立てるので、結論が出るまで時間がかかり、費用も高いです。
一方、審査請求は行政に対して不服を申し立てるので、訴訟と比較して安価であり、スピーディーに結論が出ます。
したがって、まずは審査請求をしてみることをお勧めします。
農地転用の申請が不許可となった場合の審査請求は誰に相談すれば良いの?
紛争性がある案件は弁護士にしか相談できないイメージが強いです。
しかし、弁護士は裁判がメイン業務でありかつ費用が高いので、審査請求について相談するのはあまり得策ではないと言えます。
したがって、審査請求の相談は特定行政書士にすることをお勧めします。
※特定行政書士とは、行政庁に対する不服申し立て(審査請求等)の代理をすることができる行政書士です。
※行政書士法上、不許可となった申請にそもそも行政書士が関与していない場合は、審査請求の代理をすることはできません。
まとめ
- 農地転用の申請は通常許可されるが、稀に不合理な理由で不許可になる場合もある。
- 不許可の具体例:
- 太陽光発電の案件で考慮すべき事項を考慮していないケース。
- 太陽光発電の案件で農業委員会から過剰な要求をされたケース。
- 不許可に対する対応方法:
- 泣き寝入りする必要はなく、審査請求や訴訟の道がある。
- 審査請求は安価でかつ迅速な結論が得られるため、まずはこれを試すことが推奨される。
- 審査請求の相談先:
- 弁護士は費用が高いため、審査請求の相談には特定行政書士が適している。
- 特定行政書士は行政書士法上、不許可の申請に行政書士が関与していない場合は審査請求を代理することができない。
茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地に関する行政の処分に不服のある方は、農地関係専門の弊所にご相談下さい。
専門家が親身になってサポート致します。
この記事を書いた人
特定行政書士 池田大地
専門分野:農地関係
所属行政書士会:茨城会
日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号
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