「駐車場」を目的にした「農地転用」について

農地転用関係

農地を駐車場にするためには、農地転用の手続きが必要です。

農地転用の手続きを行わずに農地を駐車場として利用することは、原則無断転用になります。

無断転用には、個人の場合は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金(農地法第64条第1項第1号、農地法第67条第1項第1号)という重い罰則が設けられているため注意が必要です。

今回は、駐車場を目的にした農地転用の手続きについてわかりやすく解説します。

市街化区域の農地を駐車場にする場合

市街化区域にある農地を駐車場にする場合は、農地転用の届出が必要です。

市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」(都市計画法第7条第2項)なので、市街化区域にある農地を転用する場合は届出で済みます。

※農地転用の届出については、こちらの記事を参照してください↓

市街化区域以外の農地を駐車場にする場合

市街化調整区域、非線引き区域、都市計画区域外の農地を駐車場にする場合は、原則農地転用の許可申請が必要です。

農地転用の許可を取得するためには、立地基準と一般基準を満たす必要があります。

農地転用の立地基準

農地転用の立地基準とは、農地区分ごとに定められた許可の基準です。

※立地基準の詳細については、こちらの記事を参照してください↓

駐車場に転用できる農地は、原則第2種農地か第3種農地です。

農用地区域内農地(青地)、甲種農地、第1種農地は、農業に適しているため原則駐車場にすることはできません。

農用地区域内農地(青地)を駐車場にするためには、原則農地転用の許可申請前に対象地を農用地区域から除外すること(農振除外)が必要となります。

※農振除外については、こちらの記事を参照してください↓

甲種農地、第1種農地でも例外的に駐車場に転用できる場合があるので、例外的に許可となる要件をチェックしましょう。

※第1種農地が例外的に許可される場合については、こちらの記事を参照してください↓

農地転用の一般基準

農地転用の一般基準とは、主に以下4つの基準を指します。

  1. 申請に係る農地の全てを当該申請に係る用途に供することが確実であること(農地法第4条第6項第3号、農地法第5条第2項第3号)
  2. 周辺の農地等に対する被害防除措置が万全であること(農地法第4条第6項第4号、農地法第5条第2項第4号)
  3. 農地の利用集積に支障を生じさせないこと(農地法第4条第6項第5号、農地法第5条第2項第5号)
  4. 一時転用の後、農地への復元が確実に行われること(農地法第4条第6項第6号、農地法第5条第2項第7号)

※一般基準の詳細については、こちらの記事を参照してください↓

転用目的が駐車場の場合は、特に申請目的実現の確実性(上記1)が厳しくチェックされます。

なぜなら、許可後に別の目的で利用している事例が多いからです。

例えば、コンクリート敷きをしない駐車場の場合は、恒久転用の許可申請をしても駐車場として永続的に利用するのか明らかでないとして、一時転用の許可になることがあります。

※一時転用については、こちらの記事を参照してください↓

申請者が駐車場を利用する場合

駐車場を目的にした農地転用の許可申請において、申請者が駐車場を利用する場合は、申請目的実現の確実性の有無を判断するために以下の項目がチェックされます。

※以下の内容は茨城県の「農地法関係事務処理の手引き(農地転用関係)」を参考にしています。

申請者の職業(定款、事業経歴等)との関連性

事業のために駐車場を必要としている場合は、駐車場を必要とする理由と申請者の職業(定款、事業経歴等)に関連性が必要です。

例えば、運送会社が新しく購入するトラックを駐車するために駐車場を必要としている場合は、履歴事項全部証明書・定款の目的に運送事業があれば、駐車場を必要とする理由と申請者の職業(定款、事業経歴等)に関連性があると言えます。

既存の駐車場

既存の駐車場がある場合は、その面積及びその利用状況がチェックされます。

なぜなら、既存の駐車場に余裕がある場合は、新たに駐車場を設ける必要性が乏しいからです。

新たに駐車場を必要とする理由

申請地を駐車場にする理由(既存返却、事業拡大等)が必要です。

なお、永続性が明らかでない場合は、一時転用(3年以内)の許可となりますので、注意が必要です。

現在の事業所等との位置関係

駐車場を必要とする事業所等と申請地の位置関係がチェックされます。

なぜなら、駐車場を必要とする事業所等と申請地の距離があまりにも離れていると、申請地を駐車場にする必要性に疑義が生じるからです。

申請地の具体的利用計画

申請地の中でどの様に利用するのか説明できないスペースがあってはいけません。

なぜなら、必要最低限の面積でないと農地転用の許可が下りないからです。

申請面積過大の場合は、分筆する等の対応が必要となります。

なお、普通車1台当たり 25~30㎡が必要とされています。

貸駐車場の場合

駐車場を目的にした農地転用の許可申請において、貸駐車場の取り扱いは以下のとおりです。

※以下の内容は茨城県の「農地法関係事務処理の手引き(農地転用関係)」を参考にしています。

自己の所有する農地を駐車場にした後、一括して企業等へ貸し付ける場合(農地法第4条)

自己の所有する農地を駐車場にした後、一括して企業等へ貸し付ける場合は、貸付け先の特定等永続性が認められる場合に限り、許可となり得ます。

永続性の有無は、申請者と貸付先との関係がわかる書類(契約書等)によって証明することになります。

農地を取得してその農地を駐車場にした後、一括して企業等へ貸し付ける場合(農地法第5条)

農地を取得してその農地を駐車場にした後、一括して企業等へ貸し付ける場合は、原則として許可されません。

例外的に申請者と最終利用者である第三者が実質的に同一であると考えられる場合には、許可となり得ます。

例えば、会社の役員が駐車場にする目的で農地を取得・整備し、当該会社に貸し付ける場合等です。

なお、不特定多数を対象とした貸駐車場については、需要があることを需要説明書等で証明できれば許可となり得ます。

令和6年4月1日以降の駐車場を目的にした農地転用

近年、農地を駐車場として利用するとの許可申請をしておきながら、許可を取得した後に別の用途(太陽光発電所等)で利用している事例が多いため、農林水産省から地方公共団体の長に対して通知(令和6年3月28日付け5農振第3179号農林水産省農村振興局長通知「資材置場等目的での農地転用許可の取扱いについて」)が発出されました。

通知のポイントは以下のとおりです。

  1. 一時転用により目的を達成できる場合は、相談者に対して一時転用による許可申請を行うよう指導すること。
  2. 駐車場を目的とした許可(恒久転用)をする場合は、「工事の完了の報告があった日から3年間、6か月ごとに事業の実施状況を報告すること」という条件を付けること。

この通知に基づいて、令和6年4月1日以降、駐車場を目的にした農地転用の取り扱いを厳しくしている地方公共団体もあるため、事前に申請先の農業委員会事務局に駐車場を目的にした農地転用の取り扱いを確認しておくことが大切です。

まとめ

  • 市街化区域の農地を駐車場にする場合は、農地転用の届出で足ります。
  • 市街化区域以外の農地を駐車場にする場合は、農地転用の許可申請が必要です。
  • 許可を得るためには、立地基準と一般基準の双方を満たす必要があります。
  • 駐車場に転用できるのは、原則第2種農地、第3種農地です。
  • 一般基準では特に「申請目的実現の確実性」が厳しくチェックされます。
  • 貸駐車場の場合は、農地法第4条に係る場合と農地法第5条に係る場合で取り扱いが異なります。
  • 近年、一時転用で足りる場合は一時転用による申請をするように指導され、恒久転用で許可が得られても一定期間の事業報告義務を課されることがあります。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地を駐車場にしたい方は、行政書士池田法務事務所にご相談ください。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートをいたします。

この記事を書いた人

行政書士池田法務事務所
所長 特定行政書士 池田 大地

専門分野:農地関係

所属:茨城県行政書士会

登録番号:第22110205号(日本行政書士会連合会)

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