農地転用と土地改良区の手続き~注意するポイントも解説します~

農地転用関係

農地転用の許可申請で大変なのが、何と言っても添付書類の収集です。

中でも特に手間のかかる書類は、申請地が土地改良区の受益地である場合に必要となる「土地改良区の意見書」です。

「そもそも土地改良区とは何?」と思う方が大半だと思います。

そこで今回は、農地転用に伴う土地改良区の手続きについて詳しく解説します。

※農地転用の申請書類についてはこちらを参照して下さい↓

土地改良区とは

土地改良区とは、土地改良法に基づいて設立された法人のことで、土地改良事業(※)の実施を目的としています。

(※)土地改良事業とは、かんがい排水施設を造設、管理、農用地の造成、管理、農用地の集団化を図る事業等を指します。

第二条 

 この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行う次に掲げる事業をいう。

 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設(以下「土地改良施設」という。)の新設、管理、廃止又は変更(あわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業及び土地改良施設の新設又は変更(当該二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業を含む。)とこれにあわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する次号の区画整理、第三号の農用地の造成その他農用地の改良又は保全のため必要な事業とを一体とした事業を含む。)

 区画整理(土地の区画形質の変更の事業及び当該事業とこれに附帯して施行することを相当とする次号の農用地の造成の工事又は農用地の改良若しくは保全のため必要な工事の施行とを一体とした事業をいう。)

 農用地の造成(農用地以外の土地の農用地への地目変換又は農用地間における地目変換の事業(埋立て及び干拓を除く。)及び当該事業とこれに附帯して施行することを相当とする土地の区画形質の変更の工事その他農用地の改良又は保全のため必要な工事の施行とを一体とした事業をいう。)

 埋立て又は干拓

 農用地若しくは土地改良施設の災害復旧(津波又は高潮による海水の浸入のために農用地が受けた塩害の除去のため必要な事業を含む。)又は土地改良施設の突発事故被害(突発的な事故による被害をいう。以下同じ。)の復旧

 農用地に関する権利並びにその農用地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合

 その他農用地の改良又は保全のため必要な事業

土地改良法 | e-Gov法令検索

土地改良区は、市町村の地区ごとに存在し、同じ市町村の中にいくつも存在する場合があります。

なので、申請先の混乱を避けるために農業委員会事務局へ確認しておくことが大事です。

農地転用をする場合、所属している土地改良区に地区除外申請書等をあらかじめ提出し、農地転用の承認を得る必要があります。

なぜ農地転用に土地改良区の手続きが必要になるの?

基本的に農業を行っている人は、土地改良区の構成員になっています。

構成員は、毎年組合費を支払わなければなりません。

これは、農業者同士でお互いに費用を工面し、共同で運営や設備の管理を行う趣旨です。

土地改良区の運営やかんがい施設の維持管理の費用は、組合員が分担して負担するため、

その額は農地の面積に応じて決定されます。

農地転用によって農業を辞める、又は農地を手放すことになると、他の組合員の負担が増加してしまうので、

地区除外をする者は、その分を「決済金」という形で事前に支払い、他の組合員とのバランスを図っているのです。

決済金の額は地域のよって千差万別で、農地の1㎡あたり○○○円という形で算出されます。

広大な土地の転用をする場合、決済金が高額になり、計画の変更を余儀なくされる可能性もありますので注意が必要です。

土地改良区の手続きに必要となる書類

農地転用に伴う土地改良区の手続きでは、以下の様な書類が必要です。

  • 地区除外申請書
  • 農地転用等の通知書
  • 位置図
  • 付近状況図
  • 土地の全部事項証明書(写し)
  • 公図の写し
  • 誓約書
  • 土地利用計画図
  • 白地証明書
  • 農地転用の申請書(写し)

※土地改良区ごとに必要書類は若干違うため、手続きをする土地改良区にあらかじめ確認しておくことが大切です。

土地改良区の手続きで注意するポイント

土地改良区の手続きはお早めに

土地改良区では理事や役員を選出し、組織運営を行っています。

土地改良区の手続きで必要になる農地転用等の通知書には、農地転用を予定する農地がある地区を代表する役員に農地転用の概要を説明し、署名と押印をもらう必要があります。

したがって、その役員と都合を合わせて、署名押印をもらいに行く必要があるので、あらかじめ連絡をとるなりして、早目に行動しておくことが大切です。

土地改良区の意見書が必要なのは許可申請の時だけ

土地改良区の受益地で農地転用をする場合、除外手続きは必ず必要となります。

しかし、農地転用等の通知書を提出することで交付してもらえる土地改良区の意見書は必ず必要とは限りません。

これは、農地転用の許可申請時にだけ必要となる書類なので、届出で済む場合は不要です。

意見書の交付には手数料が必要となりますので、余計な費用をかけないためにも注意しておくべき点です。

まとめ

  • 農地転用の許可申請において、最も困難な部分は添付書類の収集であり、特に土地改良区の意見書の取得に手間がかかります。
  • 土地改良区は土地改良法に基づき設立され、かんがい排水施設の管理や農用地の整備などを目的とする法人で、市町村ごとに存在します。
  • 農地転用を希望する場合、所属する土地改良区に地区除外申請書を提出し、承認を得る必要があります。これは、農業を行う人々が組合費を支払い、土地改良区の運営や設備管理に貢献する仕組みに関連しています。農地転用によって農業を辞めると、他の組合員の負担が増加するため、そのバランスを取るために決済金を支払う必要があります。この金額は地域によって異なり、広大な土地の転用の場合、高額になり計画変更が必要なこともあるため注意が必要です。
  • 土地改良区の手続きには多くの書類が必要で、地区除外申請書、農地転用の通知書、位置図、付近状況図、土地の事項証明書、公図の写し、誓約書、土地利用計画図、白地証明書、農地転用の申請書が含まれます。ただし、土地改良区ごとに必要書類が異なる場合もあるため、事前に確認が必要です。
  • 土地改良区の手続きに際して注意すべき点として、早めに行動し、土地改良区の役員と協力して必要書類の取得を行うことが挙げられます。また、土地改良区の意見書は許可申請時にのみ必要な書類であり、届出で済む場合は不要です。意見書の交付には手数料が発生するため、無駄な費用をかけないように注意しましょう。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地転用を検討されている方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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