農地所有適格法人(旧農業生産法人)とは?~要件についてわかりやすく解説します~

農業法人関係

農地所有適格法人(旧農業生産法人)を設立して、農業に参入したいけれど、どの様な要件を満たせば良いのかよくわからないとのご相談をよく受けます。

そこで今回は、農地所有適格法人(旧農業生産法人)の要件についてわかりやすく解説します。

農地所有適格法人(旧農業生産法人)とは

農地所有適格法人(旧農業生産法人)とは、法人として農業を行う農業法人のうち、特に農地の権利取得(買う又は借りる)を行うことができる法人のことを指します。

農地法は、「農地所有適格法人(旧農業生産法人)以外の法人は、農地または採草放牧地について所有権の移転や賃借権などの権利を取得することができない。」と定めています。

つまり、農地所有適格法人(旧農業生産法人)だけが農地を所有できます。

なぜ農地所有適格法人(旧農業生産法人)だけが農地を所有できるの?

なぜ農地所有適格法人(旧農業生産法人)だけが農地を所有できるのでしょうか?

本来、会社の目的とは、営利目的、つまり「利益を上げること」です。

出資者から資金を集めて、それを元手に事業行い、利益を上げ、出資者に還元するのが会社の役目です。

裏を返せば、利益が上がらない事業からは撤退するということになります。

また、最悪の場合、倒産してしまう可能性もあるでしょう。

したがって、営利目的の会社が簡単に農地を所有できることは、継続的に営農すべき農地にとって好ましくないのです。

そこで、一定の要件を満たした特別な法人だけ、つまり農地所有適格法人だけに農地の権利取得が認められています。

農地所有適格法人以外の法人も農地を借りることは可能です

平成21年の農地法改正により、農地所有適格法人以外の法人も農地を借りる(賃貸借又は使用貸借)ことができるようになりました。

このおかげで、農地所有適格法人でなくても農地を借りて営農することができるようになり、法人が農業に参入しやすくなったといえます。

しかし、あくまで農地を賃借することができるようになっただけで、農地所有適格法人のように農地を「所有」することはできませんから注意が必要です。

※参考:法人の農業参入についてはこちらも参照して下さい↓

農地所有適格法人(旧農業生産法人)の要件

農地所有適格法人(旧農業生産法人)の要件は主に4つあります。

法人形態要件

農地所有適格法人(旧農業生産法人)は、株式会社(公開会社を除く)、農事組合法人、持分会社のいずれかの形態をとる必要があります。

どの形態も一長一短ですが、社会的信用性の面から株式会社の形態が多いです。

事業要件

農地所有適格法人(旧農業生産法人)は、主たる事業が農業(自ら生産した農産物の加工・販売等の関連事業も含む)でそれが売上高の過半を占めていなければなりません。

農地を所有できる法人になるのですから、当然メイン業務が農業である必要があります。

議決権要件

農業を主力業務とする法人の意思決定には農業に関与している人の意見が尊重されるべきですから、農業関係者が総議決権(社員)の過半を占めている必要があります。

役員要件

法人の幹部職員が農業に従事していなければ、農業で大切な現場の声を無視した経営に陥る危険があります。そこで、役員に以下の要件が課されています。

  • 役員の過半が農業に常時従事(原則年間150日以上)する構成員であること
  • 役員又は重要な使用人が1人以上農作業に従事(原則年間60日以上)すること

おわりに

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地所有適格法人(旧農業生産法人)の設立を検討されている方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になって農地所有適格法人(旧農業生産法人)の設立をサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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