農地の賃貸借を解約等するための手続き~許可申請と通知について解説します~

農地の売買・賃貸関係

農地法第3条の許可を得て農地を貸している場合、期間が満了した時には自動的に賃貸借が終了すると思っている方が多いです。

しかし、農地法上、原則解約等について許可を得ないと自動更新されてしまうため、注意が必要です。

そこで今回は、農地の賃貸借を解約等する際の手続きについてわかりやすく解説します。

※農地法第3条の許可申請についてはこちらを参照して下さい↓

農地の賃貸借と法定更新

民法上は契約で定めた賃貸借期間が満了すれば賃貸借は終了します。

第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。

民法 第六百十六条

借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

民法 第五百九十四条第一項

しかし、賃貸借の対象が農地である場合は耕作者の地位を安定させるため、原則法定更新されます。

農地又は採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の一年前から六月前まで(賃貸人又はその世帯員等の死亡又は第二条第二項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため、一時賃貸をしたことが明らかな場合は、その期間の満了の六月前から一月前まで)の間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。

農地法 第十七条

したがって、例えば賃借人が賃料を支払わないため賃貸借契約を解約したい場合等には、解約等をするための手続きを行う必要があります。

なお、農地中間管理事業の農用地利用集積等促進計画による賃貸借、都市農地賃貸円滑化法の事業計画の認定による賃貸借、農地法第3条の許可を得た使用貸借については、期間が満了すれば解約となります。

農地の賃貸借を解約等するための手続き

許可申請

耕作者を保護するため、解約等を希望する場合は原則許可を得る必要があります。

農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。

農地法 第十八条第一項

なお、許可を得るためには、以下の要件を満たす必要があります。

 前項の許可は、次に掲げる場合でなければ、してはならない。

 賃借人が信義に反した行為をした場合

 その農地又は採草放牧地を農地又は採草放牧地以外のものにすることを相当とする場合

 賃借人の生計(法人にあつては、経営)、賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地又は採草放牧地を耕作又は養畜の事業に供することを相当とする場合

 その農地について賃借人が第三十六条第一項の規定による勧告を受けた場合

 賃借人である農地所有適格法人が農地所有適格法人でなくなつた場合並びに賃借人である農地所有適格法人の構成員となつている賃貸人がその法人の構成員でなくなり、その賃貸人又はその世帯員等がその許可を受けた後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地の全てを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うことができると認められ、かつ、その事業に必要な農作業に常時従事すると認められる場合

 その他正当の事由がある場合

農地法 第十八条第二項

通知

農地の賃貸借を解約等する場合、農業委員会へ通知すれば済む場合もあります。

 農地又は採草放牧地の賃貸借につき解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が第一項ただし書の規定により同項の許可を要しないで行なわれた場合には、これらの行為をした者は、農林水産省令で定めるところにより、農業委員会にその旨を通知しなければならない。

農地法 第十八条第六項

具体的には、以下の場合です。

 解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が、信託事業に係る信託財産につき行われる場合(その賃貸借がその信託財産に係る信託の引受け前から既に存していたものである場合及び解約の申入れ又は合意による解約にあつてはこれらの行為によつて賃貸借の終了する日、賃貸借の更新をしない旨の通知にあつてはその賃貸借の期間の満了する日がその信託に係る信託行為によりその信託が終了することとなる日前一年以内にない場合を除く。)

 合意による解約が、その解約によつて農地若しくは採草放牧地を引き渡すこととなる期限前六月以内に成立した合意でその旨が書面において明らかであるものに基づいて行われる場合又は民事調停法による農事調停によつて行われる場合

 賃貸借の更新をしない旨の通知が、十年以上の期間の定めがある賃貸借(解約をする権利を留保しているもの及び期間の満了前にその期間を変更したものでその変更をした時以後の期間が十年未満であるものを除く。)又は水田裏作を目的とする賃貸借につき行われる場合

農地法 第十八条第一項第一号~第三号

実務では、農地を引き渡す前6か月以内に合意による解約が成立した場合に関するご相談が多いです。

農地の賃貸借を解約等するための必要書類

農地の賃貸借を解約等するための許可申請又は通知には、以下の書類が必要です。

許可申請の場合

許可申請の場合は主に以下の書類が必要です。

  1. 許可申請書
  2. 全部事項証明書
  3. 賃貸借契約書の写し
  4. 委任状(代理人が申請する場合)

 令第二十二条第一項の規定により申請書を提出する場合には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 土地の登記事項証明書

 第一項ただし書の規定により連署しないで申請書を提出する場合には、第十条第一項第二号に掲げる場合に該当することを証する書面

 その他参考となるべき書類

農地法施行規則 第六十四条第三項

通知の場合

通知の場合は、主に以下の書類が必要です。

  1. 通知書
  2. 全部事項証明書
  3. 賃貸借契約書の写し
  4. 農地法第18条第1項第1号~第3号のいずれかに該当することを証する書面
  5. 委任状(代理人が申請する場合)

 第一項の通知書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 土地の登記事項証明書

 賃貸借の解約の申入れ、合意による解約又は賃貸借の更新をしない旨の通知が、法第十八条第一項第一号に該当して同項の許可を要しないで行われた場合には、信託契約書の写し

 合意による解約が行われた場合には、賃貸借の当事者間において法第十八条第一項第二号の規定による合意が成立したことを証する書面又は民事調停法による農事調停の調書の謄本

 賃貸借の更新をしない旨の通知が、法第十八条第一項第三号に該当して同項の許可を要しないで行われた場合には、当該賃貸借契約書の写し

 その他参考となるべき書類

農地法施行規則 第六十八条第三項

まとめ

農地賃貸借の基本

  • 自動更新:農地法第3条の許可を得て賃貸している場合、契約期間が満了しても法定更新されるのが原則。
  • 許可が必要:解約や更新拒否等には原則都道府県知事等の許可が必要(農地法第18条第1項)。

許可を得る場合の要件

  1. 賃借人が信義に反した行為をした場合。
  2. 農地を農地以外に転用する場合。
  3. 賃貸人が自ら耕作を行う必要がある場合など(農地法第18条第2項)。

通知で済む場合

特定の条件を満たす場合は許可不要で通知だけで済む:

  1. 信託事業に関する賃貸借の場合。
  2. 長期契約(10年以上)を更新拒絶する場合。
  3. 合意による解約(農地を引き渡すこととなる期限前六か月以内に成立)が文書で明確にされている場合など(農地法第18条第1項第1号~第3号、農地法第18条第6項)。

許可申請又は通知をする際の必要書類

【許可申請】

  1. 許可申請書
  2. 全部事項証明書
  3. 賃貸借契約書の写し
  4. 委任状(代理人が申請する場合)

【通知】

  1. 通知書
  2. 全部事項証明書
  3. 賃貸借契約書の写し
  4. 農地法第18条第1項第1号~第3号のいずれかに該当することを証する書面
  5. 委任状(代理人が申請する場合)

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地の賃貸借について解約等を検討されている方は、弊所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートを致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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