農地転用許可後の計画変更【農地関係専門の行政書士が解説します】

農地転用関係

農地転用の許可が下りた後、当初の転用計画が大なり小なり変更になることはよくあります。

この場合、原則として計画変更の手続きをしなければなりません。

そこで今回は、農地転用許可後の計画変更について解説します。

農地転用許可後の計画変更とは

農地転用許可後の計画変更は、2パターンに分かれます。

転用事業者は同じで計画内容だけが変更になる場合

1つ目は、転用事業者は同じで計画内容だけが変更になる場合です。

例えば、転用目的が太陽光発電設備の設置で、太陽光パネルの枚数が当初の計画よりも少なくなった場合等がこれに当たります。

転用事業者が変更になる(承継される)場合

2つ目は、転用事業者が変更になる(承継される)場合です。

例えば、転用目的が駐車場の場合に、許可を受けた転用事業者が事業未着手のまま死亡し、その相続人が転用事業を行いたい場合がこれに該当します。

手続きの流れ

基本的に農地転用の許可申請と同じ流れになります。

権限移譲されている市町村であれば、

  1. 毎月の締切日までに計画変更の申請
  2. 農業委員会の総会で審議
  3. 結果の通知

権限移譲されていない市町村であれば、

  1. 毎月の締切日までに申請
  2. 農業委員会の総会で審議
  3. 県への進達
  4. 県での審査
  5. 結果の通知

※農地転用の申請から許可までの期間についてはこちらも参照して下さい↓

必要書類

転用事業者は同じで計画内容だけが変更になる場合

例えば、茨城県では、主に以下の書類が必要となります。

  1. 公図の写し
  2. 登記事項証明書(全部事項証明書)
  3. 案内図(1/25,000~1/50,000)
  4. 建設計画にかかわる建物工作物の配置計画図(縮尺 1/500~1/2,000)(変更前と変更後)
  5. 営業報告書(最近3期)
  6. 資金計画裏付け(預金残高証明、融資証明等)
  7. 計画変更を必要とする事由を証する参考資料
  8. 計画変更のとおり履行しないときは農地転用許可を取消されても異存がない旨の念書
  9. 変更後の事業計画書
  10. 事業計画変更により新たに他の法令の定めるところにより許認可等を必要とする場合、許認可等のあったことを証する書面の写し、又は関係機関に提出した申請書の写し(受付印のある申請書の一部又は全部)
  11. 事業計画変更により新たに道路、水路等を廃止する場合は用途廃止申請書の写し
  12. 事業計画変更により汚水又は廃液等を排する等改めて土地改良区の了解を得る必要がある場合は、土地改良区の意見書
  13. 事業計画変更により改めて取水又排水について水利権者、漁業権者の同意を要する場合は水利権者、漁業権者の取排水同意書
  14. 変更後の転用事業に伴い土砂の流出、堆積、崩壊等の恐れがある土地造成を計画している場合は土地造成計画図
  15. その他参考となる書面等
nouchi-tebiki.pdf (pref.ibaraki.jp)

転用事業者が変更になる(承継される)場合

例えば、茨城県では、主に以下の書類が必要になります。

※被承継者甲、承継者乙

  1. 案内図(1/25000 から 1/50000)
  2. 公図の写し
  3. 登記事項証明書(全部事項証明書)
  4. 建設計画にかかる建物、工作物の配置計画図(縮尺 1/500~1/2000)(甲と乙)
  5. 法人又は団体にあっては定款、寄附行為又は規約、法人登記事項証明書、営業報告書(最近3期)(乙)
  6. 計画変更、新規事業を決定した取締役会等の議事録抄本等(必要あれば計画変更を必要とする理由を証する参考資料)(甲と乙)
  7. 資金計画の裏付資料(預金残高証明、融資証明等)(乙)(事業にかかる費用が 500 万円超の場合)
  8. 当初計画者の当初計画につき関係者の同意又は意見(たとえば取水排水等についての水利権者、漁業権者、土地改良区等の同意又は意見)を求めている場合、あるいは承継者の伴う事業計画につき同様の同意又は意見を求める必要があると認められる場合には、当該事業計画の変更についてのこれらの者の同意書又は意見書の写し(同意書又は意見書を得られない場合には、その事由及び被害防除措置等を記載した書面)
  9. 当初計画者が、旧所有者(転用事業者が所有権以外の権限に基づき転用事業に供するものである場合にあっては、所有者。以下同じ。)に対して雇用予約等の債務を有している場合には当該債務の処理についての関係者の取り決め書の写し、又は旧所有者の事業計画変更についての同意書
  10. 事業計画変更についての関係地元民の意向とこれに対する申請者の見解
  11. 事業計画変更により新たに他の法令の定めるところにより許認可等を必要とする場合はそれを証する許認可書の写し、又は関係機関へ提出した申請書の写し(受付印のある申請書の一部又は全部)
  12. 変更後の転用事業に伴い土砂の流出、堆積崩壊等の恐れがある士地造成を計画している場合は土地造成計画図
  13. 事業計画変更により新たに道路、水路等を廃止する場合は用途廃止申請書の写し
  14. その他参考となる書面等
nouchi-tebiki.pdf (pref.ibaraki.jp)

計画変更の審査基準

例えば、茨城県の場合は以下八つの項目が審査されます。

  1. 申請地の現況
  2. 許可目的達成が困難になったことが転用事業者の故意又は重大な過失によるものでないと客観的に認められること。
  3. 変更後の転用事業が周辺地域における農業等に及ぼす影響
  4. 変更後の転用事業が農地転用許可基準により転用許可相当であると認められるものであること。
  5. 変更後の転用事業が都計法にもとづく開発許可等を必要とする場合は申請書の写しが添付されているかどうか。
  6. 許可の取消し処分を行っても、その土地が旧所有者によって農地として効率的に利用されるとは認められないこと。
  7. 変更後の転用事業が変更前の転用事業に比べて、それと同程度又はそれ以上の緊急性及び必要性があると認められること。
  8. 変更後の転用事業がその事業計画に従って実施されることが確実であると認められること。
nouchi-tebiki.pdf (pref.ibaraki.jp)

おわりに

農地転用許可後に計画の変更があった場合でも計画変更の申請までは求められず、工事の完了報告書に変更の詳細を記入して提出すれば済む場合もあります。

※計画変更申請以外の対応方法については、こちらを参照して下さい↓

したがって、農地転用の許可を受けた後に、何かしらの変更が生じてお困りの方は、まず農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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