農地の「遺贈」に農地法第3条の「許可」は必要?

農地の遺言、相続関係

農地の遺贈(耕作目的)を受ける場合に農地法第3条の許可が必要か否かは、遺贈の種類によって異なります。

今回は、農地の遺贈(耕作目的)と農地法第3条の許可について解説します。

遺贈とは

遺贈とは、被相続人の遺言に則って、法定相続人又は法定相続人以外の者にその遺産の一部又は全部をゆずることを指します。

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。

包括遺贈とは、遺産の全部又は遺産の一定割合を遺贈することです。例えば、「Aさんに自分の財産の2分の1を遺贈する」と遺言書に記載されている場合等がこれに該当します。

特定遺贈とは、与える遺産を特定して遺贈することです。例えば、「Aさんに現金〇〇万円を遺贈する」と遺言書には記載されている場合等がこれに該当します。

農地の遺贈と農地法第3条の許可について

農地の遺贈に農地法第3条の許可が必要となるか否かは、遺贈の種類によって異なります。

表にまとめると以下のとおりです。

包括遺贈特定遺贈
農地法第3条の許可不要
※届出は必要
①法定相続人以外に対する
特定遺贈の場合:必要

②法定相続人に対する
特定遺贈の場合:不要
※届出は必要

包括遺贈と法定相続人に対する特定遺贈の場合は、農地法第3条の許可が不要となります(農地法施行規則第15条第1項第5号)。

もっとも、農地についての権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内に農業委員会への届出が義務付けられています。

※届出については、こちらの記事を参照してください↓

一方、法定相続人以外の者に対する特定遺贈の場合は、農地法第3条の許可が必要となります。

この場合は、農地法第3条の許可要件を満たさないと農地を取得できないので、注意が必要です。

※農地法第3条の許可については、こちらの記事を参照してください↓

農地を遺贈する方法

農地を遺贈したい場合は、その旨を遺言書に記載しておく必要があります。

今回は、法務局での保管制度によって使い勝手が向上した自筆証書遺言の作成方法をご紹介します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言書の全文を自筆で記載する形式の遺言です。

縦書きでも横書きでも構いませんが、法律で決められたルールがあるため、注意が必要です。

※公正証書遺言についてはこちらを参照して下さい↓

自筆証書遺言を作成する際のルール

  • 全文を本人が自筆する。
  • 遺言書を書いた年月日も自筆で記載する。
  • 署名捺印が必要。※認印でも可
  • 遺言書の変更(※1)
  • 添付書類(※2)

(※1)遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記してそこに署名し、かつ、その変更場所に印を押さなければなりません。

訂正方法の間違えや漏れがありますと、訂正した箇所は無効となり、加除変更されなかったものとして扱われます。

(※2)相続財産の目録を添付する場合、その目録については自書しなくても有効です。

(平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言が対象)

財産目録は本人がパソコンで作成することや、本人以外の人が作成することもできます。

また、不動産の登記事項証明書や預貯金の通帳の写しなどを添付することも有効となります。

もっとも、各添付書類には必ず署名捺印をしなければなりません。

(自書によらない記載が両面にある場合は、両面に署名捺印をする必要があります。)

自書によらない財産目録は、本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成されなければなりません。

自筆証書遺言を作成する際のポイント

  • まず、自分の財産と相続人を確認してから誰にどの財産を相続させるかを決めます。
  • 遺言者の署名や相続人の名前は戸籍の内容と全く同じにする必要があります。

(遺言者名は、通称、雅号、ペンネームなどの記載も有効とされております。)

  • 本文は、「相続させる」、「遺贈する」と明確に記載します。

(※)「相続させる」と「遺贈する」の違い

遺言書で「相続させる」の表現は法定相続人だけに使い、「遺贈する」は、相続人やほかの人に使います。

  • 不動産を自書する場合は、土地と建物は別々に記載し、所在地は全部事項証明書の通りに記載しなければなりません。
  • 預貯金などを自書する場合は、金融機関と口座番号を記載します。
  • 「付言事項」には法的効力はありませんが、遺された人に遺言者の想いを伝えることができるため、個人的には記載することを強くお勧めします。
  • 遺言執行者の指定と遺言執行者の職務内容を記載しておくと、相続手続きがスムーズに進みます。
  • 自筆証書は偽造、変造される恐れがありますので、遺言書を封筒に入れ、糊付けをして封印することが重要です。
  • 残された家族が困らない様に遺言書の保管場所をあらかじめ伝えておくことが大切です。

遺言を執行するためには原則検認が必要です

検認とは、家庭裁判所で相続人や利害関係者の立ち合いのもと、遺言の存在やその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、遺言書の内容を明確にする手続きのことです。

遺言を執行するためには原則検認が必要となります。

(※) 法務局で自筆証書遺言を保管する制度を利用した場合は、検認が不要になります。

検認は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。

申立書と遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本等や相続人等の戸籍謄本等の書類を提出します。

申立人以外の相続人の立ち合いは、各人の判断に任されており、全員が揃わなくても検認手続きは行われます。

検認が終わると、「検認済証明書」が発行されます。

まとめ

  • 遺贈は、遺言書に基づいて、法定相続人又はそれ以外の人に財産の一部または全部を譲る行為です。
  • 遺贈には包括遺贈(遺産の全部又は一定割合を遺贈)と特定遺贈(特定の財産を遺贈)がある。
  • 法定相続人以外の者に対する農地の特定遺贈(耕作目的)は、農地法第3条の許可が必要となります。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地に関する遺贈でお困りの方は、農地関係専門の行政書士池田法務事務所にご相談ください。

専門家が農地法の手続きや遺言書の作成等をサポートします。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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