農地を相続する場合の手順~相続した農地の活用方法もご紹介します~

農地の遺言、相続関係

農業従事者が亡くなった場合、残された農地の処遇に困る遺族が多いです。

例えば、

・農地を相続する場合、どの様な手続きが必要なのかさっぱりわからない・・・

・相続した農地の使い道がない・・・

そこで今回は、農地に関する相続手続きの流れ相続した農地の活用方法について解説します。

遺言書の確認

相続が発生したら、最初に亡くなった人(被相続人)が遺言書を残していないかを確認します。

遺言書で農地の相続方法について指定されていれば、原則としてその遺言書に従うことになります。

なお、公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合には、原則として相続手続きを行う前に家庭裁判所で検認を受ける必要があるため、注意が必要です。

参考:公正証書遺言についてはこちらを参照して下さい↓

参考:自筆証書遺言についてはこちらを参照して下さい↓

相続人と相続財産の調査

相続手続きを行うにあたって、相続させる人、相続させる財産を確定する必要があります。

戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認し、並行して相続財産の調査も行います。

遺産分割協議

遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、相続人全員で遺産分割協議を行うことにより遺産の分配方法を決めます。

遺産分割協議が成立した場合は、遺産分割協議書を作成することになります。

遺産分割協議書に記載する農地の情報は、法務局で農地の登記簿謄本(全部事項証明書)を入手して、その登記簿謄本を見ながら、農地の所在地や地番、地目、地積(土地の面積)を正確に記入する必要があります。

相続登記

遺産分割協議が成立した後は、その内容に従って相続手続きを行います。

農地などの不動産は、法務局で相続登記を行い所有者の名義を変更します。

※2024年4月1日からは相続登記が義務化されるので注意して下さい。

農業委員会への届出

農地を相続した場合、市区町村の農業委員会へ届出を行う必要があります。

通常、農地の権利移転には「許可」が必要とされますが、相続は否が応でも発生するものなので、「届出」で良いとされています。

農地を相続した際に届出が義務付けられているのは、農業委員会が農地の権利移動の実態を把握することで、農地の有効活用ができるからです。

相続により農地を取得しても、農業を営んでいない人(非農家)や遠方に住んでいる人は、農地の取扱いに困ります。

この点、農地を相続したことの届出をすると、農業委員会が農地の借り手を探してくれたり、農地管理の相談に応じてくれます。

ちなみにこの届出は、農地を取得したことを知った日から10か月以内に行う必要があります。この10ヶ月の期間を守らないと10万円以下の過料に処されることがありますので、ご注意ください。

相続税の申告

遺産の額によっては、相続税の申告が必要になることがあります。

農地の相続があっても、必ず相続税の申告が必要とは限りません。

相続税の申告が必要なのは、亡くなった人(被相続人)が残した遺産の額(課税価格の合計額)が基礎控除額を超える場合です。

※基礎控除額は、次の計算式で計算します。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、亡くなった人(被相続人)の住所地を管轄する税務署で行わなければなりません。

申告期限に遅れた場合には、延滞税や無申告加算税が課せられるので、注意して下さい。

相続した農地の活用方法

相続人はサラリーマンの方が多いので、相続した農地をそのまま農地として使用し続ける方は少ないのが現状です。

とは言え、農地を農地のまま売ろうとしても、農地の売買には農地法第3条の許可が必要となるため、許可要件を満たす買い手を見つけるのが一苦労です。

そこで、多くの方は、農地の転用と売買を同時に行い、相続した農地の有効活用をしています。

一番多い転用目的は、太陽光発電です。

農地は日当たりが良く、太陽光発電にはうってつけの場所なので、太陽光発電業者の方に需要があります。

大手の太陽光業者であれば、比較的高めの値段で農地を買い取ってくれるため、良い臨時収入になります。

まとめ

  • 相続が発生した場合に被相続人が遺言書を残していないかを確認します。遺言書があれば、農地の相続方法に指定された内容に従うことになります。ただし、公正証書遺言以外の遺言書が見つかった場合には、原則として相続手続きの前に家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
  • 相続手続きには相続人と相続財産の調査が必要です。相続人を確定するために戸籍謄本を取得し、同時に相続財産も調査します。
  • 遺言書がなく相続人が複数いる場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分配方法を決めます。協議が成立した場合は、遺産分割協議書を作成します。この書類には農地の情報も含まれており、正確な情報を入手するために法務局で農地の登記簿謄本を取得します。
  • 遺産分割協議が成立した後、農地などの不動産は法務局で相続登記を行い、所有者の名義を変更します。また、農地を相続した場合は農業委員会への届出も必要です。この届出により、農地の借り手を探してもらったり、農地管理に関する相談に応じてもらえます。
  • 相続税の申告も必要な場合があります。亡くなった人の遺産の額が基礎控除額を超える場合に申告が必要です。基礎控除額は法定相続人の数に応じて計算されます。相続税の申告は相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければならず、遅れると延滞税や無申告加算が発生する可能性があります。
  • 相続した農地の活用方法は、多くの場合、太陽光発電に転用することが一般的です。農地は良好な日照条件を持つため、太陽光業者にとって魅力的で、高値で売却できる可能性があります。これは相続人にとって収益性の高い選択肢となります。

おわりに

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地の相続に関してお困りの方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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