公正証書遺言の作り方をわかりやすく解説~農家のケース~

農地の遺言、相続関係

農家の高齢化が進む現代において、自身が亡くなった後、維持管理してきた農地がどの様に扱われるのか心配になる方は多いです。

この様な不安をお持ちの方は、公正証書遺言の作成をお勧めします。

そこで、今回は公正証書遺言の作り方について解説します。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書です。

公正証書遺言は、公正証書として作成されるので、法的に信頼性があります。

また、家庭裁判所での検認は必要ありません。

公正証書遺言の作成手順

財産と相続人の調査

自分の財産と相続人を調査して、誰にどの財産を相続させるのかを決めます。

相続人については、戸籍謄本を入手して確認をします。

農家であれば、所有している農地について、法務局から全部事項証明書を取り寄せましょう。

相続内容をまとめる

公証人と打ち合わせするために、相続内容をまとめます。

誰に、どの農地を相続させたいのか等、遺言者の希望をメモにまとめておくと良いでしょう。

2名以上の証人を手配

公正証書遺言の作成には、2名以上の証人の立ち合いが必要です。

そのため、証人を2人以上手配する必要があります。

ご自身(農家の方)で証人を探しても良いですし、専門家(行政書士等)に依頼しても良いでしょう。

(※)証人の役割

証人は、①遺言者が本人であること、②本人の意思で遺言書を書いたこと、③遺言書の内容に間違いがないことを確認します。

次の人は証人の資格がありません。

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者、並びに、これらの配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者と4親等以内の親族
  • 公証役場の書記官や職員など
  • 遺言書に記載された内容が読めない人、理解できない人

公正証書遺言(案)の作成を公証人に依頼

公証役場に連絡をして、公証人と遺言書の内容について打ち合わせをします。

(メールと電話での打ち合わせが多いです)

(※)公正証書遺言の作成に必要となる書類

  • 遺言者本人の本人確認資料(印鑑登録証明書または運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
  • 財産の中に不動産(農地等)がある場合には、登記事項証明書と固定資産評価証明書または納税通知書の課税明細書
  • その他、公証役場から指定された資料

遺言書の作成日時を予約

公証人と打ち合わせて遺言書の内容が整ったら、公証役場に遺言書を作成する日時について予約を入れます。

また、当日必要な書類等を確認します。

公正証書遺言の作成

公証役場から指定された日に、書類と実印を持参して、証人2名以上と共に公証役場へ行きます。

作成の流れは以下のとおりです。

  1. 遺言者の本人確認
  2. 証人の本人確認
  3. 公証人が遺言者に質問をすることで、遺言者の遺言能力の有無、自身の意思で遺言を残すか否かを確認する
  4. 公証人が事前に用意しておいた遺言書を配布して読み聞かせる
  5. 遺言者と証人が遺言書の内容を承認したら、遺言者、証人、公証人がそれぞれ遺言書に署名捺印をする

以上で、公正証書遺言が出来上がります。

(※)補足

遺言者(農家の方)が病気または高齢のため、公証役場に出向けない場合でも、公証人と証人が病院や自宅、老人ホームなどに出向き、遺言書を作成することができます。

また、聴覚や言語に障害がある場合でも、公正証書遺言は作成することができます。

公正証書遺言の交付

原本は公証役場に保管されて、遺言者(農家の方)には正本、謄本が交付されます。

後は、公証役場へ公正証書遺言の作成費用を支払い、手続き終了となります。

(※)公正証書遺言の作成費用

  • 作成費用は、相続させる財産の価額により異なります。
  • 相続または遺贈を受ける人ごとの価額で費用を算出し、それを合算します。
  • 全体の財産の価額が1億円以下の場合は、11,000円が加算されます。(遺言加算)
  • 遺言書の作成枚数や正本、謄本などの交付には、別途作成手数料が発生します。

参考:日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)

まとめ

公正証書遺言の作成手順をまとめると以下のとおりです:

  1. 財産と相続人の調査
    • 財産と相続人を調査し、どの財産(農地等)を誰に相続させるかを決定します。
    • 具体的には戸籍謄本や農地に関する登記事項証明書等を入手します。
  2. 相続内容をまとめる
    • 公証人との打ち合わせの準備として、相続内容を整理し、遺言者の希望をメモにまとめます。
  3. 2名以上の証人を手配
    • 公正証書遺言の作成には2名以上の証人が必要です。
    • 証人は遺言者の正当性と遺言書の正確性を確認し、一定の資格が必要です。
  4. 公証人に依頼
    • 公証役場に連絡し、公証人との打ち合わせを行います。通常、メールや電話での打ち合わせが行われます。
    • 必要な書類(遺言者本人の本人確認資料、戸籍謄本、住民票など)を提出します。
  5. 遺言書の作成日時を予約
    • 公証人との打ち合わせで遺言書の内容が確定したら、公証役場での遺言書作成の日時を予約します。
  6. 公正証書遺言の作成
    • 指定された日に公証役場で書類と実印を持参し、証人2名以上と共に出席します。
    • 作成の流れは、遺言者の本人確認、証人の本人確認、遺言者の遺言能力確認、遺言書の読み聞かせ、承認、署名、捺印です。
  7. 公正証書遺言の交付
    • 遺言書の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。
  8. 作成費用の支払い
    • 作成費用は相続財産の価額に応じて異なり、相続または遺贈を受ける人ごとに計算され、合算されます。
    • 財産価額が1億円以下の場合、遺言加算として11,000円が追加され、正本や謄本の交付には別途手数料がかかります。

特別な状況(病気、高齢、障害など)に対応するため、公証人と証人が遺言者の場所に出向くことも可能です。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地に関する遺言書作成を検討されている方は、農地関係専門の当事務所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートを致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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