農地を特別縁故者に分与する場合、農地法第3条の許可は必要?

農地の売買・賃貸関係

特別縁故者とは

特別縁故者とは、死亡した者と特別な関わりがあった者で、

具体的には、次の者を指します(民法第958条の3)

  • 被相続人(死亡した者)と生計を同じくしていた者(例、内縁の妻)
  • 被相続人の療養看護に努めた者(例、献身的に看護してくれた隣人)
  • その他被相続人と特別の縁故があった者(例、家族以上の付き合いのあった友人)

上記に該当するか否かの判断は、家庭裁判所が行います。

相続とは、相続人の生活を保護するための制度ですから、相続人不在の場合に国へ財産を渡すよりも、本来は相続権のない特別な縁のあった者に取得させる方が良いとの趣旨で、特別縁故者への相続が認められる場合があります。

特別縁故者の申出とその流れ

特別縁故者は、法定相続人と違い、一定の手続きに従って申出をする必要があります。

相続人が不明の場合、利害関係人または検察官の請求よって家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。

次に、家庭裁判所は相続財産管理人または検察官の請求によって相続人の捜索の公示をします。

相続人が一定期間見つからない場合、相続人の不存在が確定します。

特別縁故者として財産分与を請求する者は、相続人の不存在が確定してから3か月以内に申出をし、家庭裁判所の判断を仰ぐ必要があります。

相続財産に農地が含まれていたときの対処法

特別縁故者に分与される相続財産の中に農地が含まれている場合、遺産分割の場合と同様に、農地法第3条第1項第12号の規定によって3条の許可は不要であるとされています。

※農地法第3条第1項

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

※第12号

遺産の分割、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

※民法第958条の3

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

※農地法第3条の許可についてはこちらを参照して下さい↓

もっとも、農地法第3条の3第1項に基づき、農業委員会に届出をする必要はあるので注意が必要です。

※農地法第3条の3第1項

農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

おわりに

農地の相続でお困りの方は、一度、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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