「農地を購入した後、売主が所有権者ではないことが判明して所有権者から返却を求められています。長年、購入した農地を耕作していましたが、どうしたら良いですか?」との相談を受けることがあります。
この様な場合は、一定の要件を満たせば時効取得できる可能性があります。
そこで今回は、農地の時効取得についてわかりやすく解説します。
農地の時効取得とは
時効取得については、民法に規定されています。
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
この条文を要約すると、農地の時効取得をするための要件は以下のとおりです。
- 所有の意思
- 平穏・公然
- 他人の物を占有
- 時効期間の経過
※この時効期間は、善意無過失であれば10年、それ以外(悪意、有過失、悪意有過失)の場合は20年となります。
これらの要件を立証することは難しいため、ほとんどの要件が推定されます。
※無過失は推定されません。
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
なお、判例では「農地の取得時効につき無過失であったとはいえないとされた事例」(最判昭和59年5月25日 民集第38巻7号764頁)があります。
農地の譲受人が、当該譲渡について必要な農地調整法(昭和二四年法律第二一五号による改正前のもの)四条一項所定の知事の許可を受けていないときは、特段の事情のない限り、右農地を占有するに当たつてこれを自己の所有と信じても、無過失であつたとはいえない。
農地の時効取得と農地法第3条の許可
「農地の所有権を時効取得する場合、原始取得に該当するため農地法第3条の許可は不要」とした判例(最判昭和50年9月25日 民集第29巻8号1320頁)があります。
そのため、農地を時効取得した場合、農地法第3条の許可は不要とされています。
もっとも、届出は必要になるため注意して下さい。
※農地を時効取得した場合の届出についてはこちらを参照して下さい↓
農地を時効取得するためには時効の援用が必要
時効の援用とは、時効の利益を受ける旨の意思表示です。
そして、農地の所有権者に時効を援用する旨を伝えない限りその農地を時効取得することはできません。
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
時効の援用は、証拠を残すため、内容証明郵便で通知するのが一般的です。
通知書の作成、送付は慣れていないと大変なので、専門家(行政書士等)に依頼することをお勧めします。
まとめ
農地を購入後、売主が所有権者でなかった場合、時効取得可能なケースがあります。
時効取得には以下の要件を満たす必要があります。
- 所有の意思
- 平穏・公然
- 他人の物を占有
- 時効期間の経過(善意無過失で10年、悪意や過失があれば20年)
時効取得をするには、時効の援用を所有権者に通知する必要があります。内容証明郵便で通知することが一般的です。
なお、農地法第3条の許可は不要ですが、届出は必要です。
茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地について時効取得を検討されている方は、弊所にご相談下さい。
農地関係専門の行政書士が親身になってサポートを致します。
この記事を書いた人
特定行政書士 池田大地
専門分野:農地関係
所属行政書士会:茨城会
日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号
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