農地に老人ホームを設立するための手続き~農地転用と開発許可について解説します~

開発許可関係

農地に老人ホームを設立する場合、農地を農地以外のものにするため、農地転用の手続きが必要となります。

ここで、忘れてはいけないのが、開発許可の手続きです。

都市計画法上のエリアによっては、規模に応じて開発許可も受ける必要があります。

農地転用の手続きさえすれば、自由に老人ホームを設立することができるわけではないので注意しましょう。

今回は、農地に老人ホームを設立する際の手続き(農地転用と開発許可)について解説します。

都市計画法上の区域区分を確認する

まず、対象の農地が都市計画法上のどのエリアに該当しているのかを調査する必要があります。

なぜなら、エリアによって農地法上の手続きと開発許可の要否に影響を与えるからです。

例えば、市街化調整区域の場合は、農地転用の許可申請が必要となり、規模に関わらず開発許可の手続きも必要となります。

※市街化区域と市街化調整区域についてはこちらの記事も参考にして下さい。↓

農地のランク(農地区分)を確認する

農地転用の許可申請をする場合、農地のランクを調べる必要があります。

農地のランクが高い、農用地区域内農地(青地)、甲種農地、第1種農地は、農業に適しているため原則として老人ホームには転用できません。

もっとも、第1種農地で不許可の例外に該当する場合は、転用できる可能性があります。

老人ホームに転用できる農地は、原則としてランクが低い第2種農地か第3種農地です。

第2種農地は、代替性のないことを証明する必要があります。

つまり、他の土地ではなく、申請地でなければならない理由を説明する必要がります。

第3種農地は、原則許可となります。

※農地区分(農地のランク)の調べ方については、こちらを参照して下さい↓

農地転用の一般基準を満たすか確認する

農地転用の許可申請をする場合、農地転用の可否は、農地のランクだけで決まるわけではありません。

一般基準と呼ばれるものも満たす必要があります。

例えば、老人ホームを設置する資金があるか、周辺の農地に悪影響を与えないか、関係する法令(開発許可等)の手続きを行っているか等を書面で証明する必要があります。

※一般基準については、こちらも参照して下さい↓

開発許可の見込みを立てる

農地転用の手続き以外に開発許可の手続きも必要となる場合は、開発許可の見込みについても確認する必要があります。

なぜなら、農地転用と開発許可の申請は、同時に申請して、同時に許可となるからです。

開発許可の要件は農地転用の要件よりも複雑でわかりにくいため、建物の設計図面等を準備した上で、都市計画課の担当者へ相談しましょう。

農地転用と開発許可の申請

許可の見通しが立った後に、いよいよ許可申請の書類準備を行います。

管轄の農業委員会事務局と都市計画課から必要書類のひな形と添付書類一覧を入手しましょう。

添付書類を集めたらそれに基づいて申請書等を作成します。

申請書類一式が完成したら農業委員会事務局と都市計画課へ申請(持参、郵送)します。

通常、申請してから1~2か月程度で許可証の交付となるでしょう。

まとめ

  • 農地に老人ホームを設立する場合、農地転用と規模に応じて開発許可の手続きが必要です。
  • 都市計画法上のエリアによって手続きが異なり、市街化調整区域では農地法の許可申請と開発許可申請が必要となります。
  • 農地のランクが高い場合は転用が難しく、ランクの低い第2種農地や第3種農地が望ましいです。
  • 転用可否は一般基準も考慮し、資金面や周辺への影響について証明が必要です。
  • 農地転用と開発許可は同時申請で、許可の見通しが立ったら書類を準備して申請します。
  • 農業委員会事務局と都市計画課への申請後、約1~2か月程度で許可が交付されます。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で農地転用や開発許可の申請を検討されている方は、農地関係専門の当事務所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポートを致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

お問い合せはこちらから↓

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました