第1種農地が転用できる場合~不許可の例外について解説します~

農地転用関係

農地転用の実務では、「農地転用をしようとしたら第1種農地でした。何とかなりませんか?」とのご相談が非常に多いです。

第1種農地の転用では、不許可の例外に該当して許可となる場合やそもそも農地区分の判断が誤っているために農地のランクが下がり許可となる場合があります。

今回は、第1種農地の農地転用について解説します。

第1種農地とは

第1種農地とは、農用地区域内にある農地以外の農地であって、良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件のいずれかに該当するものです。(法第4条6項第1号ロ及び第5条第2項第1号口)

  1. おおむね10ヘクタール以上の一団の農地の区域内にある農地
  2. 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地
  3. 近傍の標準的な農地を超える生産をあげることができると認められる農地

※農地区分についてはこちらを参照して下さい↓

第1種農地が例外的に許可となる場合

第1種農地は、良好な営農条件を備えているため、原則として農地以外に転用することができません。

しかし、例外的に第1種農地でも許可となる場合があります。

以下では、よくある不許可の例外をご紹介します。

申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるもの(令第4条第1項第2号柱書、同項第1号 イ)

代表例は、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)です。一時転用なので、第1種農地でも認められています。

※詳しくはこちらを参照して下さい ↓

住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの(令第4条第1項第2号イ、則第 33 条)

例えば、周辺の地域において居住する者が業務上必要とする店舗、事務所、工場、駐車場、作業場、資材置場等の設置を目的にした農地転用を行う場合です。

これは、集落の通常の発展の範囲内で集落を核として滲み出し的に行われる農地転用については、集落の安定的な維持、発展ひいては地域の農業の振興につながるため第1種農地でも認められています。

申請に係る農地をこれに隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供するために行うものであって、当該事業の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるもの(令第4条第1項第2号ニ、則 第 36 条)

例えば、太陽光発電設備を設置したい計画地のごく一部に第1種農地が含まれている場合です。

事業に必要な総面積に対する第1種農地の割合が一定以下の農地転用については、第1種農地の転用が主ではないので認められています。

そもそも第1種農地であるか怪しい場合

農業委員会事務局に第1種農地であると判断されたけれども、本当に第1種農地なのか怪しい場合が多々あります。

この様な場合は、まず第1種農地と判断した個別具体的な根拠を行政側に確認しましょう。

例えば、その根拠がおおむね 10 ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地である場合は、分断要件(高速道路、河川、線路、住宅、山林等)を地図上で探して、本当に計画地が一団の農地に含まれているのか確認します。

どうしても行政側の判断に納得がいかない場合は、専門家に相談することをお勧めします。 

専門家が介入することで、第1種農地との判断が第2種農地に覆る場合があります。

まとめ

第1種農地とは、農用地区域内農地以外の農地で、特定の要件を満たす場合に該当します。具体的な要件は以下の通りです。

  1. おおむね10ヘクタール以上の一団の農地の区域内にある農地
  2. 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地
  3. 近傍の標準的な農地を超える生産が可能と認められる農地

第1種農地は、原則として農地以外への転用が許可されませんが、例外的なケースが存在します。

よくあるケースは以下の通りです。

  1. 一時的な利用を目的とする場合
    • 仮設工作物など一時的な利用のために農地を供する必要がある場合に許可となります。例として、営農型太陽光発電が挙げられます。
  2. 集落に接続して設置される住宅や施設場合
    • 集落に接続して設置される住宅や周辺の地域に居住する者が必要とする施設(店舗、事務所、工場など)を設置するために第1種農地を転用する場合、地域の発展や農業振興への寄与を考慮して許可されます。
  3. 事業に必要な一部の面積が第1種農地を含む場合
    • 例えば、太陽光発電設備を設置したい土地の一部が第1種農地である場合、事業全体の面積に占める第1種農地の割合が一定以下であれば許可されます。

また、第1種農地の判断が疑わしい場合、つまり行政の判断に疑念が生じた際には、具体的な根拠を確認し、必要に応じて専門家に相談することが推奨されています。専門家の介入により、第1種農地の判断が見直される場合もあります。

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県で第1種農地の転用を検討されている方は、当事務所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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