農家の高齢化と農地の管理について~任意後見制度のご紹介~

農地の遺言、相続関係

昨今、農家の高齢化が著しく進行しています。

高齢化した農家の方は、将来的に自分が認知症や障害を負った場合に、精魂込めて耕作してきた農地の管理がどうなるのか心配でたまらないと思います。

そこで、今回は高齢化した農家の方をサポートする任意後見制度について解説します。

任意後見制度とは

後見人制度

後見人制度とは、認知症や障害を負った場合に判断能力が低下している人の財産や身の回りのことをサポートする制度が後見人制度です。

具体的には、判断能力が低下している人に、後見人や保佐人、補助人と呼ばれる人を付けて、本人に代わり財産の管理や契約の締結をしてもらうことができます。

この後見人制度には、法定後見と任意後見の2パターンがあります。

法定後見とは

法定後見は、既に判断能力が低下しているときに使う制度です。

裁判所が弁護士や社会福祉士等の専門家を選任するケースが多いです。

もちろん無料ではなく、裁判所が決めた報酬を支払う必要があります。

任意後見とは

任意後見は、将来、判断能力が低下したときのために使う制度です。

こちらは自身の家族等、原則として自由に任意後見人を選ぶことができます。

任意なので、無報酬でも問題ありません。

任意後見制度を利用する場合の流れ

任意後見制度を利用する流れは、おおまかに4つのフェーズに分かれます。

  1. 任意後見契約の締結
  2. 契約内容の登記
  3. 家庭裁判所へ任意後見監督人の選任申立てをする
  4. 任意後見の開始

以下で各フェーズを確認していきます。

任意後見契約の締結

本人の判断能力がしっかりしている時に、支援してもらう内容を決めておきます。

内容が決まったら、公証役場で公正証書の原稿を作成してもらう必要があります。

原稿が完成した後、指定された日時に本人と支援をする人が公証役場へ出向き、内容を確認します。

公証人が公正証書を読み上げ、内容に問題がなければ、署名と押印をします。

※参考:公正証書遺言についてはこちら↓

契約内容の登記

不動産の売買契約等を後見人が本人の代わりに行う場合は、その人が後見人だという公的な証明書で証明をしなければなりません。

その証明は「後見登記事項証明」で行います。

この「後見登記事項証明」は、法務局で登記をすることで全国の法務局、地方法務局で取得することができます。

そして、任意後見の契約が公正証書で締結されると、その登記を公証人が嘱託で行います。

家庭裁判所へ任意後見監督人の選任申立てをする

本人の判断能力が明らかに低下してきたら、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任申立てを行います。

この後見監督人とは任意後見人の業務を監督する人で、法定後見と同じく弁護士や司法書士等の専門家が選任されます。

任意後見の開始

任意後見監督人が選任された後、ようやく後見業務が開始されます。

まず、選ばれた任意後見監督人と面会をします。

その後、登記事項証明を取得し、各機関に届出をすれば、後見人として活動をすることができます。

今後の活動は、定期的に任意後見監督人へ報告し、任意後見監督人の監視を受けながら行うことになります。

まとめ

後見人制度は、認知症や障害により判断能力が低下した人をサポートする制度で、判断能力が低下した人に後見人、保佐人、補助人を付けて、財産の管理や契約の締結を代行する仕組みが含まれます。

後見人制度には、法定後見と任意後見の2つの種類が存在します。

  1. 法定後見: 既に判断能力が低下している場合に適用され、裁判所が専門家を選任します。報酬が発生し、裁判所が決めた報酬を支払う必要があります。
  2. 任意後見: 判断能力が将来的に低下する場合に利用され、自身の選んだ家族などが後見人になることが原則とされます。この制度では無報酬でも問題ありません。

任意後見制度の流れは以下の通りです。

  1. 任意後見契約の締結: 本人の判断能力があるうちに、支援内容を決定し、公証役場で公正証書の原稿を作成します。原稿が完成した後、公証人が内容を確認し、署名と押印が行われます。
  2. 契約内容の登記: 不動産の売買契約などを後見人が代理で行う場合、後見人の公的な証明が必要で、これは「後見登記事項証明」で行います。この登記は法務局で行われ、公証人が登記を行います。
  3. 家庭裁判所への任意後見監督人の選任申立て: 本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てを行います。任意後見監督人は後見人の業務を監督し、専門家が選任されます。
  4. 任意後見の開始: 任意後見監督人が選任された後、後見業務が開始されます。後見人は選ばれた任意後見監督人と連絡を取り、登記事項証明を取得し、機関に届け出を行います。活動は定期的に監督人へ報告し、監視下で行われます。

おわりに

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地に関してお困りの方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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