特定技能(農業)のビザ申請には外国人側と企業側で満たさなければならない要件があります。
例えば、外国人側の要件は、原則次の2つです。
- 特定技能試験の合格
- 日本語検定の合格
※技能実習2号を良好な状態で修了している場合は試験が不要
今回は、外国人側の要件を詳しく解説します。
特定技能(農業)とは
受け入れ分野で即戦力として活動できる知識または経験を有する外国人向けの在留資格です。定められた14分野の指定業種に関する知識や技術を持つ外国人が対象となります。
この14分野の中に農業が含まれています。
その他の要件は以下の通りです。
年齢
日本上陸時点で18歳以上
在留期間
1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新(上限5年まで)
技術レベル
各分野の試験で確認します。
日本語レベル
生活や業務に必要なレベルで、こちらも試験で確認します。
家族の帯同
認められません。
その他
受入れ機関・登録支援機関の支援対象です。
特定技能試験(農業)の合格
特定技能(農業)ビザを申請するには、知識または経験を必要とする技能を有しているかの確認として、従事する分野と同一の特定技能試験に合格しなければなりません。
農業の場合は、農業技能測定試験を受ける必要があります。
試験が開催されている国であれば、国内外問わず受験することができます。
そして、無事に合格をしたら在留資格の申請時に、技能試験の合格証明書(写し)を提出します。
日本語試験の合格
特定技能(農業)ビザを申請する外国人は、
・ある程度の日常会話ができ、生活に支障がないレベルの能力があること
・業務に必要な日本語能力水準を満たしていること
を確認するために、
国際交流基金日本語基礎テストもしくは日本語能力試験に合格する必要があります。
国際交流基金日本語基礎テスト
国際交流基金日本語基礎テストとは、ある程度日常会話ができ生活に支障がない程度の能力を有するか測定するテストです。
国際交流基金日本語基礎テスト(Japan Foundation Test for Basic Japanese, 略称:JFT-Basic)は、主として就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」※があるかどうかを判定することを目的としています。このテストは、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR:Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)および、CEFRに沿って国際交流基金が「相互理解のための日本語」を理念とする日本語教育のための枠組みとして開発した「JF日本語教育スタンダード」(JFスタンダード)の考えに基づき、「日本語で何がどれだけできるか」を測ります。
JFT-Basicとは|JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト (jpf.go.jp)
日本語能力試験
日本語能力試験とは、課題遂行のためのコミュニケーション能力を測定するテストです。
日本語能力試験では、①日本語の文字や語彙、文法についてどのぐらい知っているか、ということだけでなく、②その知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるか、ということも大切だと考えています。私たちが生活の中で行っている様々な「課題」のうち、言語を必要とするものを遂行するためには、言語知識だけでなく、それを実際に利用する力も必要だからです。そこで、この試験では、①を測るための「言語知識」、②を測るための「読解」、「聴解」という3つの要素により、総合的に日本語のコミュニケーション能力を測っています。
4つの特徴 | 日本語能力試験 JLPT
技能実習2号を良好に修了した場合
特定技能1号として申請する際に、技能実習を活用し、技能実習2号を良好に修了している場合は日本語試験と特定技能試験が不要です。
良好な状態とは技能実習を計画に従い、2年10ヶ月以上修了していることを指します。
技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合には、技術水準について試験その他の評価方法による証明は要しないとされています。
出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
(※)技能実習とは?
技能実習とは国際貢献を目的として発展途上国の外国人を一定期間受け入れ、日本の技術や知識の移転を図る制度です。
在留資格の1つであり、日本の企業で働きながら知識や技術を養います。
技能実習は、1号から3号に分かれています。
技能実習1号
技能実習1年目で、2ヶ月間は座学を始め基礎的な知識を養います。
技能実習2号
技能実習2~3年目で、技能実習1年修了時の試験に合格をすると、移行が可能となります。
技能実習1号よりも専門的な知識を養います。
技能実習3号
技能実習4~5年目で、技能実習2号修了時の試験に合格をすると移行が可能です。
より高度な技能を学ぶことになります。
(優良な監視団体等のみ3年で一時帰国し、2年間の延長が可能)
技能実習2号の修了後に帰国をしていても、良好な状況であれば試験が免除されます。
もっとも、特定技能1号の申請分野は技能実習2号の職種、作業との関連性が認められる必要があります。
「外食業」と「宿泊業」については対象業種ではないので、技能実習2号から申請はできません。
技能実習2号を良好に修了していることは、技能検定3級またはこれに相当する試験の合格証の写しや技能実習生に関する評価調書などで証明します。
まとめ
- 特定技能(農業)は、受け入れ分野で即戦力として活動できる知識または経験を有する外国人向けの在留資格です。
- この在留資格は、14の指定分野のうち農業が含まれています。
- 受け入れ条件として、18歳以上であること、在留期間は1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとに更新できる(最長5年まで)、各分野の技術レベルを試験で確認し、日本語レベルも生活や業務に必要な水準であることを試験で確認します。
- 家族の帯同は認められません。
- 特定技能(農業)ビザを申請するには、農業技能測定試験と日本語能力試験に合格する必要があります。
- 特定技能試験は、受験者が受けたい国内外の場所で受験できます。
- 技能実習2号を修了している場合は、特定技能試験と日本語試験は免除されます。
- 技能実習は、国際貢献を目的として発展途上国の外国人を受け入れ、日本の技術や知識の移転を促進する制度です。技能実習は1号から3号に分かれており、2号を良好に修了すると特定技能1号の申請において試験の免除が可能です。ただし、特定技能1号の申請分野は技能実習2号の職種や作業と関連性が認められる必要があります。
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この記事を書いた人
特定行政書士 池田大地
専門分野:農地関係
所属行政書士会:茨城会
日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号
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