農地の遺贈で起こりがちな問題とその解決策

農地の遺言、相続関係

農地を遺贈する場合、関係者間でトラブルになることがままあります。

例えば、遺留分を侵害される場合等です。

今回は、農地の遺贈で起こりがちな問題とその解決策について解説します。

農地の遺贈で起こりがちな問題~その1~

特定遺贈がいつでも放棄できる弊害

遺言とは、自分の死後、自己の財産を誰に残すかという意思表示で、これを書面にしたものが遺言書です。

(※)公正証書遺言についてはこちらを参照して下さい↓

遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って相続が行われます。

つまり、法定相続分とは異なる分割をすることが可能となるのです。

そして、遺言によって、法定相続人以外の人(例えば、生前お世話になった知人等)に財産を渡すことができます。

これを、遺贈といいます。

遺贈は、遺言書にその内容を示すことですることができます。

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があり、包括遺贈は、「全財産の1/2」など割合を指定する必要があります。一方、特定遺贈は、「〇〇さんに〇〇を」など具体的に指定しなければなりません。

遺贈を受ける者、つまり受遺者は、特定遺贈の場合、いつでも放棄することができます。

例えば、AさんがBさんに特定の農地を遺贈する遺言書を残した場合、Bさんはその遺贈をいつでも放棄することができるのです。

しかし、これでは受遺者の意思表示がないと、遺産分割を確定できないため、相続人が不安定な状態となります。

解決方法

この様な場合は、受遺者に対し、内容証明で遺贈を承認するのか、放棄するのかを決めてほしい旨を通知しましょう。

受遺者は、期間内に返事をしないと、承認したものとみなされますので、相続人の不安定な状態が解消されます。

※内容証明とは、郵送する文書の内容、送付日、誰が送付したのか、誰に送付したのかを日本郵便株式会社が証明してくれる制度です。内容証明は、ある事柄を伝えた、いや聞いていないの水掛け論を防止する効果があります。

農地の遺贈で起こりがちな問題~その2~

遺留分の侵害

原則、遺言によって自己の財産を自由に処分できますが、それは絶対ではありません。

もし、目ぼしい財産が農地しかないAさんが「農地すべてを親友のBに譲り渡す」旨の遺言を残した場合、残された家族は納得できるでしょうか?

この点を解消するために、相続人が最低限受け取ることのできる相続財産の割合が法律で定められており、これを遺留分といいます。

(※)遺留分はすべての相続人に認められているわけではなく、兄弟姉妹には認められません。

解決方法

遺留分を侵害された相続人は、侵害された部分について取り戻すことができます。

これを、遺留分侵害額請求といいます。

行使方法は、意思表示をすればよいので口頭でもかまいませんが、言った、言わないのトラブルを防ぐ為にも、内容証明で通知することをお勧めします。

(※)遺留分侵害額請求には行使期間の制限があるので注意が必要です。

遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

民法第1048条

まとめ

農地を遺贈すると、特定遺贈の問題や遺留分の侵害が起こる可能性があります。

特定遺贈はいつでも放棄でき、受遺者の意思表示がないと相続人に不安定な状態をもたらします。

この解決策としては、受遺者の意思を内容証明で確認することが挙げられます。

また、遺留分の侵害が家族間で紛争を引き起こすこともあります。

この解決策としては、遺留分侵害額請求を行使し、内容証明で通知すると良いです。

農地関連の遺贈に関する法的問題に注意し、適切な手続きを取ることが重要です。

農地に関する遺言、相続でお困りの方は、農地関係専門の行政書士にご相談下さい。

専門家が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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