共有している農地を単独所有にする方法~農地転用を例にして解説します~

農地転用関係

「共有している農地を転用したいけど、転用に反対している共有者がいるために実行ができない。どうしたら良いのか教えて欲しい」との相談を受けることがよくあります。

結論としては、転用前に単独所有に変えておくことがお勧めです。

今回は、農地転用を例にして、共有している農地を単独所有にする方法をご紹介します。

共有している農地の転用には共有者全員の同意が必要

農地の転用は、共有物の変更に該当するため、共有者全員の同意が必要です。

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

民法 第二百五十一条 

しかし、共有者間で意見が一致しないことから農地転用の手続きを進めることができない場合があります。

この様な場合は、転用する前に対象の農地を単独所有に変更しましょう。

そうすることで、共有者間での農地転用に関する意見不一致による問題を回避することができます。

共有している農地を単独所有にする方法

共有している農地を単独所有にする方法としては、以下の3つが挙げられます。

共有者が持分を放棄する

共有者の一人がその持分を放棄したとき、その持分は他の共有者に帰属します。

共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

民法 第二百五十五条

例えば、農地をAさんとBさんが共有していた場合、Bさんがその持分を放棄することです。

メリットとしては、持分放棄は単独行為なので農地法第3条の許可が不要であることです。

一方、デメリットとしては、共有者間の関係性が悪い場合は、素直に放棄をしてくれるとは限らない点が挙げられます。

共有者から持分の譲渡又は贈与を受ける

例えば、農地をAさんとBさんが共有していた場合、BさんがAさんに自身の持分を有償で売却したり無償であげる場合等です。

この場合、共有物に関する権利移動が発生するため、農地法第3条の許可が必要になります。

共有物分割を行う

例えば、農地をAさんとBさんが共有していた場合、分筆をしてAさんとBさんの土地に分けることやAさんがBさんの持分に相当するお金を支払い、Aさんの単独所有にすることです。

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

民法 第二百五十六条 

判例によると共有物の分割は、原始取得ではないと判断されているため、農地法第3条の許可が必要になります。

なお、共有している農地が相続財産で共同相続人間で遺産分割協議が成立していない場合は、先行して遺産分割協議を行うべきであることから、相続開始から10年を経過するまで民法第258条に基づく共有物の分割請求を行うことができません。

共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

民法 第二百五十八条 

1 共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。

2 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。

民法 第二百五十八条の二 

まとめ

共有している農地を転用する際には、共有者全員の同意が必要です。

しかし、共有者間で意見が一致しない場合、問題が生じることがあります。

このような場合、農地を単独所有に変更することが一つの解決策です。

共有農地を単独所有にする方法は以下の3つです。

  1. 共有者が持分を放棄する:共有者の一人が持分を放棄すれば、その持分は他の共有者に帰属します。この場合、農地法第3条の許可が不要です。
  2. 共有者から持分の譲渡又は贈与を受ける:共有者が持分を他の共有者に売却または贈与することで、単独所有にすることができます。ただし、農地法第3条の許可が必要です。
  3. 共有物分割を行う:共有農地を分筆するか、相当額の金銭で持分を譲渡し、単独所有にする方法です。分割には農地法第3条の許可が必要です。

おわりに

茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県、福島県の農地でお困りの方は、弊所にご相談下さい。

農地関係専門の行政書士が親身になってサポート致します。

この記事を書いた人

特定行政書士 池田大地

専門分野:農地関係

所属行政書士会:茨城会

日本行政書士会連合会 登録番号:第22110205号

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